1. 検体の採取及びタンパク質の網羅的な同定解析 乳腺検診受診者及び乳癌患者からNAF及びNDを82例採取した。採取登録期間は2年間を計画しているため、残りの1年で更なる検体数を確保する予定である。解析機器の最適解析条件を検討した後、これらの検体の一部を用いて以下の実験を行った。 (1) 検体4例を用いたパイロットスタディの実施 ND検体4例(健常者由来2例、患者由来2例)を用い、検体のタイプに適応したタンパク質抽出、変性・還元・アルキル化、酵素消化等の前処理法を確立した。 (2) 当手法で得られたペプチドを逆相ナノLC-MS/MS手法を用いてタンパク質の網羅的な同定解析を実施し、データの集積を行った。1つの検体から約100種前後のタンパク質が同定されている。 2. 早期乳癌腫瘍マーカー候補タンパク質の選択 上述の1から得られた健常者由来検体及び患者由来検体タンパク質を比較し、乳癌に特徴的な発現差異を有するタンパク質の探索を行っている。以下に探索方法を示す。 (1) Scaffoldソフトウエア(マトリックスサイエンス社製)を用いて、他方には検出されない特異的な発現を有するタンパク質を探索し、現在約20種のタンパク質を発見している。 (2) ヨードアセトアニリド及びその7個の炭素を^<13>C化した安定同位体ラベル化ヨードアセトアニリドを用いて、発現強度比が有意な差で現れたタンパク質の探索を行っている。現在、当手法の最適化条件の検討が終了し、発現差異を有するタンパク質の探索実験を行っている。
|