採集した計100検体の乳頭分泌液(ND)の内26検体(非乳癌者検体14及び乳癌患者検体12)からタンパク質を抽出し、二次元(逆相ODS(塩基性)/逆相ODS(酸性))ナノ LC-ESI(electrospray ionization)-MS/MS 手法を用いてタンパク質発現差異の比較検討を行った。その結果、乳癌患者検体からより多く検出されたタンパク質15種(カルボキシペプチダーゼNサブユニット2、細胞外マトリックスタンパク質1、血清アミロイドP成分、ネブリン、補体成分C8α鎖、アポリポタンパク質L1、フラビンレダクターゼ、カタラーゼ、炭酸脱水酵素2、アポリポタンパク質C-I、核膜孔糖タンパク質210、スーパーオキシドジスムターゼ[Cu-Zn]、ビスホスホグリセリン酸ムターゼ、炭酸脱水酵素1、ペルオキシレドキシン2)を第一次マーカー候補として同定した。実用化をにらんで、平成24年9月5日に特許出願を行った(出願番号:特願2012-194804号、発明の名称:乳癌の判定方法)。更に、当該マーカー候補タンパク質の評価として、乳癌病理組織を用いた発現確認、ウエスタンブロテイング、更には、各候補タンパク質の酵素免疫測定法(ELISA 法)を作成してND100検体全ての定量発現測定を行い、当該マーカー候補タンパク質の乳癌腫瘍マーカータンパク質としての確立へ向けた評価実験を行った。 加えて、質量分析法でより早く定量検討できる手法を開発した。ヨードアセトアニリド(IAA)及びその 13C 同位体置換IAAをタンパク質と反応させ、2群間における同種タンパク質の相対定量法の開発を行った。その結果を、Bioorganic & Medicinal Chemistry Lettersに投稿しパブリッシュされた。
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