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2011 年度 実績報告書

チオール基の酸化還元を指標にした診断バイオマーカー蛋白質の同定と検証

研究課題

研究課題/領域番号 22501035
研究機関東京医科大学

研究代表者

川上 隆雄  東京医科大学, 医学部, 客員准教授 (40366117)

キーワードレドックス制御 / プロテオーム / バイオマーカー / 酸化修飾蛋白質 / 癌
研究概要

細胞内の酸化還元(レドックス)反応は、細胞の状態やその置かれた環境下に応じて厳密に調節されている。レドックス状態が細胞の悪性化にともなって量的・質的な変動を起こしていることを示す研究例が近年になって増加している。レドックス反応の中心となっているのは蛋白質システイン残基のチオール基(SH基)である。本研究では、SH基の酸化還元の度合いを包括的に測定する技術を開発することを目的とした。以下の2つの開発項目の条件検討を行った。
(1)還元SH残基への蛍光プローブの導入
(2)分離再現性の高い非還元/還元二次元電気泳動法の開発
前者の修飾反応については、反応条件の設定がほぼ終了している。非還元/還元二次元電気泳動法では、分子内と分子間にジスルフィド結合(S-S結合)をもつ蛋白質はそれぞれ対角線の上側と下側に泳動され、S-S結合をもたない分子は対角線上に並ぶ。分離条件の工夫として一次元目のポリアクリルアミドゲルをプラスチックフィルムで裏打ちした。この方法を用いて、昨年度に引き続き分離条件の検討を実施した。検討に用いた10種類の標準蛋白質はいずれも分子内のS-S結合と還元SH基の数が明らかである。現在のところ、操作方法は手技の熟練を要しない簡単なものになったが、蛋白質混合物の分離能力の向上には至っていない。
レドックス修飾は蛋白質の構造と機能に密接に関係した一群の翻訳後修飾である。このため、今回開発する方法論を悪性腫瘍の診断バイオマーカー探索に適用すれば、細胞の性質や癌種の違いをより正確に判定することが可能な候補蛋白質を同定することが期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

方法の開発では、SH基への蛍光プローブの導入反応が定量的に進んでいることを確かめている。非還元/還元二次元電気泳動のスポット分離能は今回の工夫でも充分に改善されなかったが、これは当初の計画の範囲内のことであるので上記の自己評価とした。

今後の研究の推進方策

初年度に開発した非還元/還元対角線電気泳動法を用いて実試料の分離展開を検討したところ、蛋白質スポットの分離能が充分でないことが分かった。そこで本年度は、通常の二次元電気泳動法に切り替えて再度探索実験を行う。また、酸化還元だけでなく、その他の蛋白質修飾に関連した疾患関連蛋白質の探索研究も並行して実施する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Disulfide proteomics : Current status in thioredoxin biochemistry and in dustrial researches

    • 著者名/発表者名
      Takao Kawakami, Hiroyuki Yano
    • 雑誌名

      Japan Agricultural Research Quarterly

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [図書] 翻訳後修飾のプロテオミクス-質量分析装置を中心とした分析法の原理-2011

    • 著者名/発表者名
      川上隆雄(分担執筆), 平野久・大野茂男編著
    • 総ページ数
      233
    • 出版者
      講談社

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公開日: 2013-06-26  

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