研究概要 |
【フラボノイドによる分化誘導研究】 5種類の培養肉腫細胞(軟部肉腫3例、骨肉腫2例)を用い、野菜(レタス、ブロッコリー、ニラ、大根等)に含まれるフラボノール(ケルセチン、ケンフェロールおよびミリセチン)添加によるCCK-8アッセイによる増殖抑制実験、分化指標となるALP活性、LDHアッセイ、蛋白量測定によるin vitroの実験を行った。骨肉腫例では10μMケルセチンの添加により有意な増殖抑制が認められ、用量依存性であった。ケンフェロールでは50μM以上で有意に増殖抑制が認められ、30μMのミリセチンでも有意な増殖抑制が認められた。細胞内ALP活性はケンフェロール(20μM以上)及びケルセチン(40μM)で上昇を認めた。しかし、軟部肉腫では誘導効果は認められなかった。以上より、ケンフェロール及びケルセチンに骨肉腫細胞に対する細胞増殖抑制作用とALP誘導作用が認められた。さらに棗(なつめ)に含まれる抽出成分の培養MG63骨肉腫に対する増殖抑制効果が確認され、フローサイトメトリーによりsub G1の増加が認められ、アポトーシス誘導効果を持つことが示唆された。フラボノイド類は多くの食品に含まれているが、フラボノールの他にも棗に含まれる成分が骨肉腫細胞に対して増殖抑制効果を持つことが分かった。 【ヒト肉腫のCGH array解析の変化及びZFH/ATBF1の変化】 8例の肉腫に対する検索を行った。現時点では5例のaggressive bone tumorにおいてDNAコピー数の変化が観察されており、MYC (8q24), CREBBP (16p13.3), BRCA1 (17q21), THRA (17q11.2), D19S238E (19qtel), TNFRSF6B (DCR3;20q13), ZFH/ATBF1などの増加が確認されたが、次年度も継続して症例数を増やす予定である。
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