研究概要 |
フラボノイドを含むアカメガシワ、大棗抽出成分による分化誘導及びアポトーシス誘導実験を施行した。またヒト肉腫株のFISH解析を行った。 【フラボノイドによる分化誘導研究】アカメガシワから抽出した成分であるMallotophenone (MP)、Mallotojaponin (MJ)、Mallotochromene (MC)、Mallotolerin (ML)を用いて、骨肉腫細胞に対する抗腫瘍効果について検討した。形態学的には全ての化合物で細胞の紡錘形変化がみられ、特に3.0μmolのMJでは無添加群の43%まで増殖抑制効果が認められた。分化誘導の陽性対照として用いた0.2μMの1,25(OH)2D3(活性型ビタミンD3)添加と類似の効果を示したが、ALPが誘導されたのはMPのみであった。細胞内蛋白量は低下し、LDH測定による細胞障害率に関しては、MJで有意な増加がみられた。 【大棗抽出成分による分化誘導研究】大棗から水で抽出、濃縮されたエキスを用いて、MG-63骨肉腫細胞に対する抗腫瘍効果について検討した。この培養実験系では細胞形態の変化を伴っており、細胞周期の変調が確認された。Anexin V-FITCの解析では抽出液10-20mg/mlでアポトーシス細胞の誘導が誘導され、Western blot法にてcleaved caspase-3の発現が認められた。 【ヒト肉腫株のcomparative genomic hybridyzation(CGH)解析】ヒト肉腫組織よりDNAをphenol法にて抽出し、電気泳動及びphotometerにてDNAの分析を行う。CGHプロトコールに従い、labeling, precipitation, hybridizationを行い染色体異常の解析を行った。多形型平滑筋肉腫ではcomparative genomic hybridyzation(CGH)法によるDNA copy number alterations (DCNAs) の変化としてとして8ptel, 17ptel, 17q11.2の増幅及び 2ptel, 7ptel, 7qtel, 10p15, 12p12-13.1, 13q14.2-14.3, 15q25-26, Yq11の低下が確認され、CD99陽性軟部肉腫ではadd(1)(q23), t(1;16)(p21;p11.2), inv(5)(q11.2;q15)が確認できるなど新しい知見が得られた。
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