研究概要 |
ATP7A高発現細胞における抗癌剤の薬剤排出機構に小胞輸送系が関わっていることを見いだし、小胞輸送を制御するRab蛋白に注目して研究を進めてきた。CHO/ATP7A細胞でDoxの蛍光の一部はマウスGFP-Rab2とGFP-Rab9の局在が一部重複する。dominant negative型のマウスRab9(Rab9DN)を一過性に導入すると細胞内小胞に貯留していたDoxの小胞への蓄積が減少し、また一部が核にも存在すること。Rab27aを強制発現させたCHO/ATP7A細胞では本来小胞に貯留するDoxの著しい低下すること。などの結果から今年度Rab2、Rab9とRab27について薬剤排出との関連について研究を行ってきた。 ATP7A発現CHO細胞にRab2とRab9のドミナントネガティブをパーマネントに導入したが、明らかなDoxorubicineの局在変化や耐性の低下を見いだせていない。原因としては一過性に発現に比べて、導入されたRabの発現が低い、Rab分子の補償作用が起きやすいなどが予想される。また、あらたにヒトRab27aをクローニングした。 今後、Rab2a,Rab2b,Rab9a,Rab9bsを同時に抑制するShRNAを用いて、これらの分子の阻害とこの細胞株への強制発現による耐性への解析を行う。またATP7A欠損の線維芽細胞株とそのATP7A強制発現細胞株へGFP-ヒトRab27aの導入するとともに、実験の進行に適した細胞株を選択するためヒト癌細胞株でATP7A発現とRab27発現の有無と臨床検体での免疫染色を計画している。
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