研究課題/領域番号 |
22501048
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
秋山 伸一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任教授 (60117413)
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研究分担者 |
曽根 三郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 客員教授 (40145024)
西岡 安彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70274199)
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キーワード | 解糖経路 / IL-8 / TP / NADPH / NFkB / NADPH oxidase / ROS / pentose phosphate pathway |
研究概要 |
チミジンホスホリラーゼ(TP)は、血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)と同一たんぱく質であり、血管新生作用を有する。TPは、多くの腫瘍で発現が亢進しており、予後との関係も報告されている腫瘍の増殖に重要な因子であるが、TPの作用機構については、まだ不明の点が多い。TPは、活性酸素(ROS)を産生するが、そのメカニズムは不明であった。我々はNADPH oxidaseがTPによるROSの産生に関与していることを初めて明らかにした。TP発現腫瘍細胞では、NADPHの産生が増加していることから、TPがNADPHを増加させる機構について解析を行った。13C5-thymidineをTP発現細胞に取り込ませ、その代謝産物をCE-MSを用いて経時的に解析した。TPの触媒により13C5-thymidineが分解されてできる13C5-2-deoxy-D-ribose 5-phosphateが解糖系に入り、その一部がペントースリン酸経路に入ることによりNADPHの細胞内レベルが高くなりROS産生が亢進することが判明した。さらに、そのROSがNFkBを活性化してIL-8だけでなく、炎症、浸潤、転移、細胞の生存、増殖、薬剤耐性などに関与する遺伝子の発現に影響を及ぼしていることがわかった。TPの血管新生作用が注目されているが、TPによるこれらの多彩な作用が、腫瘍の進行にとって血管新生と同様に、あるいはそれ以上に重要であることを我々の今回の結果は示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TPの作用機構について、大筋で解明できたと考えている。この解明に多少時間がかかったが、それだけの重要な知見が得られている。今後TPとWarburg効果の関係についせ解析していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、TPがHIF 1 alphaを安定化すのかを調べる。また、安定化すればそのメカニズムについて調べる。特にROSがprolyl hydroxylaseの活性を阻害するのかに興味がある。阻害するのであればその分子機序も明らかにする。さらに、TPが解糖系酵素のレベルを上昇させるのか、それがHIFを介したものかどうかを解析する。
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