研究概要 |
予後不良疾患の代表である成人T細胞白血病に対する,腫瘍幹細胞を根絶する可能性がある薬剤(三酸化砒素)を用いた新しい多剤併用化学療法(As-RCM療法)の治療効果を明らかにする事が本研究の目的である.本研究における新規治療法の投与スケジュールは.Arsenic trioxide 0.15 mg/kg day1-5, これに既報のRCM療法を併用し,4週で1コースとして,計2コース施行する. 24年度までに予定通りに7名の患者の登録がなされた.全例がmLSG15を3-5コース施行されており,7例中4例は幹細胞移植を含む2レジメン以上の前治療歴あり.2コース完遂が2例,1コース完遂3例,1コース目途中での治療変更が2例.治療効果は完遂例が2例PR,残り5例はSD~PDであった.奏効割合は28.6%.有害事象は,好中球減少(100%,grade1-2 3例,grade3-4 4例),血小板減少(43%, grade11例,grade2 2例),貧血(29%, grade1 2例),QTc延長(100%, grade 1 2例,grade2 5例)が見られたが,すべて治療継続可能であった.以上より,三酸化ヒ素の使用量・化学療法との最適な組合せを検討すれば,初回治療にも使える可能性を秘めており,再発・治療抵抗性ATLに有効と考えられた. 25年度には,以上の成績を,第11回日本臨床腫瘍学会学術集会で報告した.現在論文作成中である.
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