研究概要 |
浸潤性乳癌338例を対象に、p-AKT, Cyclin D1, P27, p-p70S6K, p-4EBP1, p-MAPK/ERKを免疫組織化学的に検索し、染色強度と陽性細胞の割合を加味した染色スコアで評価した。さらに、染色スコアをクラスタリング解析することで対象例を亜分類し、そのクラスタリング分類と臨床病理学的因子との関連を検討した。平成23年度までの結果;1) 染色スコア5点以上を陽性とした場合の6因子の陽性率は、p-AKT: 74%, Cyclin D1: 12%, P27: 53%, p-p70S6K: 37%, p-4EBP1: 19%, p-MAPK/ERK: 3%であった。2) クラスタリング分類は、ホルモン受容体とHER2を組み合わせたサブタイプ分類(P<0.001)、核グレード(P<0.001)、組織型(P<0.05)と有意に関連していた。平成24年度は、クラスタリング解析と予後とに有意な関連がみられなかった理由を考察する目的で、6因子の染色スコアを含む臨床病理学的因子と予後との関連を全症例、サブタイプ別に検討した。結果;1) 全症例:多変量解析で再発と有意な関連がみられたのは、p-p70S6K(P=0.027)、手術時年令(P=0.042)、TNM病期分類(I vs. II: P=0.011, I vs. III: P<0.001)、リンパ節転移(P=0.002)であった。染色スコアと生死との間に多変量解析で有意な関連は見られなかった。2. サブタイプ別:多変量解析で再発と有意に関連した染色スコアは、HER2サブタイプのp-p70S6K(3をカットオフとするとP=0.0039)のみであった。染色スコアと生死との間に有意な関連は見られなかった。以上を本研究の最終結果とし、論文執筆に着手した。
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