研究課題/領域番号 |
22501063
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
組本 博司 愛知県がんセンター(研究所), 中央実験室, 主任研究員 (00291170)
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研究期間 (年度) |
2010-10-20 – 2015-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 遺伝子環境交互作用 / 遺伝子多型 / 分子疫学 / がん / 食道 |
研究概要 |
我々は以前の研究で食道がん腫瘍において、mtDNAは高頻度で変異を生じていることを以前、明らかにした。本研究の目的は、ミトコンドリアDNA の多型の数を指標として、mtDNA の変異の入りやすさを評価し、mtDNA の多型と、食道がん発がんリスクを解析する事である。そのために、食道がん患者および非がん患者のmtDNA のD-loop 領域の多型を網羅的に調べ、食道がん発がんとの関連を解析する事を計画した。前年度までに、D-loop 領域の全域をカーバー出来るプライマーセットを明らかにし、解析方法を確立した。さらに、それぞれの症例について、解析した塩基配列とmtDNA の標準塩基配列であるケンブリッジ配列とを比較し、多型を生じている塩基を同定している。 本年度は、食道がん症例、非がん患者それぞれ、10例を残して、多型の解析は終了した。多型の位置、種類など詳細な解析まで完了している食道がん症例33例、および、非がん患者64例について、現在のところ、食道がん患者、非がん患者それぞれ、平均で1例当たり、7.5、6.8個の多型が見つかっている。今後、食道がん症例、非がん患者とも例をそれぞれ185例まで解析し、多型の種類、位置など詳細な解析をおこなう。 mtDNA は一細胞当たり数百から数万の単位で存在するが、全て同じ配列であればホモプラスミー、ある特定の位置の塩基が2種類以上の塩基の場合、ヘテロプラスミーと言う。多くの場合、ホモプラスミーと考えられており、本研究計画における、塩基配列の解析において、ほぼ全ての多型がホモプラスミーであると想定している。しかしながら、塩基配列上のある部位に2種類の塩基が存在する場合、割合の少ない方の塩基が3割以上存在するときにヘテロプラスミーと定義して、今後、発がんリスクの解析の際に考慮する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度当初の計画では、昨年度中に、塩基配列の解析、多型の同定を完了する予定だったが、現在、多型の同定後の詳細な多型の分類中である。ほぼ全ての多型塩基がホモプラスミーと仮定して、実験をしていたが、一定数ヘテロプラスミーが存在することがわかり、詳細な解析が必要となったため、に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
食道がん症例、非がん例について、多型の同定を完了し、多型の数と食道がん発がんリスクの関係を解析する。また、個々の多型と食道がん発がんリスクの関連を解析し、食道がん発がんに関連する多型を検索する。 現在のところ、多型の解析、分類に計画以上に時間を要しているが、研究を遂行する上で、技術的な問題点はない。
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