研究概要 |
本研究は,鳥海山からの地下水が伏流水として湧出している日本海沿岸海域を対象とし、異なる種類のセンサで取得されたリモートセンシングデータ(以下,リモセンデータ)を組み合わせて複合的な解析を行うとともに,局所的な自然現象である"海底湧出地点の海水表面情報"の解析を行った。具体的には,人工衛星だいちにより取得されたAVNIR-2データとPALSARデータを対象とし,k-means法を施して得られた海水表面情報の特徴と,現地調査結果や専門家から得られた知見との比較を行った。次に,対象地域における地質図,塩分濃度の算出結果との比較を行い,局所的な地形や湧出地下水の水質・湧出量が海水表面情報に影響を与える状況について検討を加えた。得られた成果を以下にまとめる。 (1)AVNIR-2データおよびETM+データの分類結果を比較したところ,両データは類似した様相を呈していること,さらに分解能の高いAVNIR-2データは,対象地域の詳細な海水表面情報の判読が可能であることを明らかにした。 (2)対象地域における地質の形成時期の違いに着目したところ,海底地下水の湧出量や広がりが異なることに起因して,分類結果も異なることを明らかにした。 (3)対象地域における塩分濃度を推定しAVNIR-2データによる分類結果と比較したところ,リモートセンシングデータによる地下水(淡水)と海水の違いの判読に,塩分濃度が一つの指標になり得ることを明らかにした。 (4)AVNIR-2データを使用したところ,同じ淡水であっても湧出地下水と河川水では異なるクラスタが形成された。また,その判別指標の一つとして,濁度が考えられることを明らかにした。 (5)PALSARデータから算出したテクスチャ特徴量は,海底地下水が湧出している地点の特徴解析に有効であることを明らかにした。
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