研究概要 |
近年の気候変化に対する植生応答を調べる上で地球観測衛星によるグローバルモニタリングが有効である.2000年代以降は高精度の衛星搭載光学センサにより,陸域モニタリングは充実している一方,それ以前では米国気象海洋局(NOAA)が運営している極軌道衛星(NOAAシリーズ)に搭載されたAVHRR(Advanced Very High Resolution Radiometer)のみであり,より長期の陸域応答を調べる上ではNOAA/AVHRRの利用が前提となる. NOAA衛星群は1982年に観測を開始し,現在も運用されている長期観測ミッションである.長期運用を前提としていることから観測軌道制御が少ないことが特徴である.そのため,打ち上げ初期から運用末期に向けて赤道を通過する時間が遅くなる問題があることが1990年代から指摘されている.その影響で可視,近赤外波長での観測データには自然変動に加え,人為的な影響を与える. 以上の背景から,本研究ではNOAA/AVHRRベースの植生データセットの再構築を目指し,NOAA/AVHRRシリーズの全球データ収集およびグローバル基礎データの生成,絶対校正の実施を行い,センサとしての構成を行う,飛翔体の軌道変化に基づく補正のため,静止気象衛星データを用い,太陽天頂角,センサ視野角の変化に伴う反射率変化データベースを構築し,時間合成する際の補正手法に応用し,既存のプロダクトとの比較検討を実施し,グローバル植生研究の礎として貢献することである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
気候研究で関連する4大学センター,研究所(東大大気海洋研,名大水循環センター,東北大大気海洋センター,千葉大環境リモセンセンター)で仮想研究室(VL)を2007年より運用しているが,2011年度にVLに従事する特任助教が相次いで他大学に異動したため,その業務の対応のため,科研研究に割くべき時間が大幅に減少してしまったため.
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