研究課題/領域番号 |
22510005
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
周 勝 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 助教 (50451985)
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研究分担者 |
寺田 昭彦 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (30434327)
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キーワード | 畜産排水 / Anammox細菌 / Anammox活性 / 硝化活性 / 脱窒速度 / 飼料イネ / 水田 |
研究概要 |
前年度において、水田の浸透速度は硝化・脱窒速度に影響を与えることがわかった。また、実験ポットの土壌からAnammox細菌に比較的近縁な未知のPlanctomycetesを検出したが、Anmmox活性が確認できなかった。今年度において飼料イネを栽培している実際の水田においてAnmmox活性を測定した。実験系として異なる畜産排水負荷(100および600kg-Nha-1)および異なる水管理(常時湛水及び低水位管理)を設定した。Anmmox活性測定用の水田土壌は異なる窒素負荷の畜産排水を施用した水田(常時湛水)から20cmの土壌コアを採取した。採取した土壌コアを0~5cm、5~10cm、10~15cmと15~20cmに4層に分けて、バイアルビンに入れて嫌気的に保ち、15N標識したNH4またはNO2/NO3を添加し、ヘッドスペースガス中に生成する29N2、30N2を測定してそれぞれAnammox活性、脱窒活性を測定した。その結果、畜産排水を施用した水田土壌からAnammox反応活性を検出されなかったが、脱窒活性は土壌表層から20cmの深さまで下がる傾向が見られた。これは施用した畜産排水に含まれるアンモニア態窒素が酸素のある土壌上層部における硝化細菌に硝化され硝酸塩まで変換され脱窒反応を促進されたと考えられる。 一方、畑の浸透水より常時湛水した谷津田水田から10cmの土壌コアを採取して、2cmごとに5つの層を分けて、Anammox活性及び脱窒活性を測定した。その結果、2~4cmの層においてAnammox活性が11.6nmmol/g-slurry/hrに達して、最も高いことがわかった。各層において、総窒素ガスの生成にAnammox反応の寄与率はそれぞれ13.9%、37.3%、8.1%、0.3%、0.5%を占める。 以上の結果より、水田の状況によってAnammox活性が大きく異なることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初畜産排水を施用した水田においてAnammox反応が起こるではないか予測していたが、Anammox活性がなかった。一方、畑の浸透水で湛水している谷津田水田土壌においてAnammox活性の検出ができた。
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今後の研究の推進方策 |
Anammox細菌の増殖が遅く、棲息している環境に影響されやすい。畜産排水を施用した飼料イネ水田において、Anammox細菌に比較的近縁な未知のPlanctomycetesを検出したが、Anammox活性がなかったことがわかった。これから、Anammox活性が高い谷津田水田土壌を用いてAnammox細菌の定量及びAnammox活性の評価を行う予定。
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