研究課題
本研究は、富山湾を中心とした鉛直方向、すなわち高低差3000m、空間方向、すなわち水平方向100kmの観測領域から、大気汚染物質の季節変化とその動態解明の研究を行った。昨年度から引き続き、平成23年度は、富山(富山市:富山大学五福キャンパス)、立山・浄土山(標高2839m:富山大学立山施設)、珠洲(珠洲市:能登半島里山里海自然学校)の3カ所におけるスカイラジオメーターを使った太陽放射観測から、エアロゾルの光学的特性の解析を行った。その観測結果より越境大気汚染とローカルな大気汚染の輸送過程を検証した。エアロゾルの光学的厚さの月平均値は、概ね、富山と珠洲では、春から初夏に高く、秋に低い同じような季節傾向が見られ、絶対値も似た値を示し、昨年同様の結果を得た。月平均値レベルでは、水平方向100kmの観測領域では、同じような変動を示していたことが確認された。しかしながら、細かく特徴を調べてみると、ローカルな影響も含まれていることが確認された。立山での観測は、観測を本格的に出来るようになったが、自然環境の厳しさと、23年度は、山頂付近が天候不順だったため、太陽光があまり出ず、太陽光の観測も出来なかったのもさることながら、発電も太陽光で行っているため、思うように観測データが得られなかった。ただし、いくつかのデータは取得できたので、それらを踏まえ、24年度の研究とあわせて評価したい。また、冬期間の観測領域内の季節変化や大気汚染物質の動態解析を補うためや太陽放射観測を補うために、立山積雪断面調査を行った。さらに、この領域で観測されたデータの再解析等を行い、スカイラジオメーター観測データのみならず、数値モデルとの比較も行った。その結果、月平均値では同じ傾向にあったが、モデルと違う傾向もいくつかあったので、今後の課題とする。
2: おおむね順調に進展している
観測は、天候に左右されることもあり、取得データが少ないときもあったが、それもこの研究のひとつとして、概ね順調に進展していると考えている。また、数値モデルとの比較も進み、研究発表も行うようになってきたので、当初の計画より、一部分は、少し進んでいると考えている。
現在の観測データもさることながら、過去の観測データのデータベース化を急ぐとともに、地球観測衛星や数値モデルとの相互比較から、現状の問題点をあげ、温暖化予測などの研究に役立つ情報を発信できればと考えている。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
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