本研究では、地球観測衛星によるリモートセンシング観測データを解析する事で、雲頂高度と雲底高度の全球分布を導出するものである。そのために、雲頂高度と雲底高度の同時推定手法を、人工衛星観測データ(ADEOS-II/GLI)に適用する。その一方で、地上観測データあるいは、その他の地球観測データ(MODIS等)を用いて、解析結果を検証する。最終的には、雲が存在する場合の地表面放射収支を評価する研究に提供する事のできるデータセットの作成を目指す。 今年度は、既にある設備や現有データで全球解析を進めつつ、解析結果の精度検証に必要となる現地観測データの取得に努めた。 まず現場観測データについての打ち合わせとして、2010年4月に東北大学(仙台)に行き、地上観測データ(放射観測データ等)の利用について打ち合わせ並びに取得作業を行った。また2010年5月に東京で開催された研究集会に出席し、現地観測データ(航空機観測データ等)の利用について打ち合わせを行い、比較検証が可能なデータ(場所・期間)について確認した[国内旅費]。 また、全球解析と検証の結果を、2010年8月に韓国で開催されたアジア・太平洋放射シンポジウムAPRS2010で発表した。これにより、関係する研究者と議論を行うことができた。この会合では、酸素の吸収帯の観測データから、雲頂高度・雲底高度のみならず、雲の不均質性に関する情報も得られるのではないかという着想を得た[外国旅費]。 それと並行して、今後の解析に必要となる、より高速な計算機システムを導入した[設備備品費]。それに加えて、取得作業を行った地上観測データ(放射観測データ)の整理を行った[謝金]。
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