本研究では、地球観測衛星によるリモートセンシング観測データを解析する事で、雲頂高度と雲底高度の全球分布を導出するものである。そのために、雲頂高度と雲底高度の同時推定手法を、人工衛星観測データ(ADEOS-II/GLI)に適用する。その一方で、地上観測データあるいは、その他の地球観測データ(MODIS等)を用いて、解析結果を検証する。最終的には、雲が存在する場合の地表面放射収支を評価する研究に提供する事のできるデータセットの作成を目指す。 今年度も昨年度に引き続き、既にある設備や現有データで全球解析を進めつつ、解析結果の精度検証に必要となる現地観測データの取得に努めた。 まず、取得作業を行った気象観測データの整理を行った。また、客観解析データを解析システムに組み込む作を行った[謝金]。それを基に、千葉大学、気象研究所、及び東北大学に赴き、地上観測データ(放射観測データ等)の利用について打ち合わせ並びに取得作業を行った[国内旅費]。 また、全球解析と検証の結果を、2012年3月にマレーシアで開催されたPIERS2012で発表した。これにより、関係する研究者と議論を行うことができた。この会合では、雲層の鉛直構造に着目し、2015年頃に日本とヨーロッパの宇宙開発機関によって打ち上げられる予定の衛星ライダやレーダとの比較研究に対するコメントを頂いた[外国旅費、その他]。
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