研究課題
本研究は、地球観測衛星によるリモートセンシングデータを解析する事で、雲頂高度と雲底高度の全球分布を導出するものである。そのために、酸素の吸収帯の観測情報を用いた雲頂高度と雲底高度の同時推定手法を、人工衛星観測データ(ADEOS-II/GLI)に適用する。その一方で、地上観測データを用いて、解析結果を検証する。最終的には、雲が存在する場合の地表面放射収支を評価する研究に提供する事のできるデータセットの作成を目指す。今年度は昨年度に引き続き、既にある設備や現有データで全球解析を進めつつ、解析結果の精度検証に必要となる現地観測データの取得を行った。具体的には、千葉大学と東北大学に赴き、地上観測データ(放射観測データ等)の利用について打ち合わせ並びに取得作業を行った。また、得られた雲・気象観測データの整理と解析を行った。時空間的に完全には同期できなかったのものの、比較の結果、雲頂高度はおおむね整合的である一方で、雲底高度を過小評価している傾向のある事が分かった。さらに、雲底高度と地表面赤外放射量との間に良い関係がある事を確認した。これらに基づき、宇宙航空研究開発機構主催(JAXA)の研究集会において、地上観測結果との比較検証についての発表を行った。この会合では、雲層の不均質性に着目する事が必要であること、そして曇天下における地表面下向き赤外放射量の推定の重要性についてのコメントを頂いた。また、全球解析と検証の結果を、2012年8月にドイツで開催された国際会議IRS2012で発表した。この会合では、本研究の他にも酸素の吸収帯の観測情報を用いた雲層高度の推定の研究事例が幾つか紹介されるとともに、2015年頃に日本とヨーロッパの宇宙開発機関によって打ち上げられる予定の衛星ライダやレーダとの比較研究に対するコメントを頂いた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Current Problems in Atmospheric Radiation (IRS 2012): Proceedings of the International Radiation Symposium (AIP Conference Proceedings)
巻: 9999 ページ: 1-4