研究課題
オゾンホール発生時期の短波長紫外線がヒト皮膚へのダメージを調べることは非常に重要であるものの、危険であるために定量的に且つ簡便に評価をすることは困難である。そこで、研究代表者はヒト皮膚の替わりにコラーゲンシートを用いたり、カテキンがUVに敏感に反応することを生かした茶殻配合紙を用いるユニークな評価方法を考案した。本研究では、オゾンホールが発生している春季とオゾンホールが発生していない秋季の南極にて、一部のサンプルの屋外曝露を行った。曝露後のコラーゲンシートから得た抽出液中の総タンパク質量と末端アミノ基濃度を調べた。その結果、春季曝露の場合では、秋季曝露の場合に比べて総タンパク質量は約2倍、末端アミノ基濃度は約5倍もの値に達していた。また、同じオゾンホールの発生期間であっても、コラーゲン抽出液中の末端アミノ基濃度は9月中旬から10月末までの50日間の場合では9月中旬から10月上旬までの25日間の場合に比べて5倍程度も大きかった。このことは、9月にはオゾンホールは発生しているものの、まだ太陽高度が低いために短波長紫外線が充分には地上に届かなかったためと考えられる。また、茶殻配合紙を用いたUVライトによる実験では、照射波長によって敏感に色変化することを見出した。この方法は、ヒト皮膚へのダメージを調べることのみならず、植物の影響を調べるうえでも画期的であると考えられる。さらに、繊維製品でコラーゲンシートを覆った屋外曝露も行ったところ、オゾンホール発生時においても酸化亜鉛粒子は紫外線によるコラーゲン分子鎖の分解を有効に抑制できることもわかった。
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