研究代表者らは、ヒト皮膚の替わりにコラーゲンシートを用いて、一連の南極にてUVに及ぼすダメージを評価するユニークな実験を行った。本研究では、コラーゲンに対してメラニン色素の添加やグリオキサールによる架橋を行った。そして、オゾンホールが発生している春季とオゾンホールが発生していない秋季に着目し、サンプルの屋外曝露を行って分析を実施した。 曝露後のコラーゲンシートから得た抽出液中の総タンパク質量と末端アミノ基濃度を調べた。春季曝露と秋季曝露の場合を比較したり、同じオゾンホールの発生期間であっても短波長紫外線の量による比較を詳細に実施した。その結果、オゾンホールは発生時(9月)であっても、メラニン色素の添加によってコラーゲンの劣化が抑制されたり、糖化架橋させているものは、比較的、UVによる変化が小さいことが分った。 さらに、酸化亜鉛粒子を添加したレーヨン繊維の不織布を用いて、コラーゲンシートを覆った屋外曝露も行ったところ、オゾンホール発生時においてもコラーゲン分子鎖の分解を有効に抑制し得る添加量に対する知見を得た。 これらの結果については、国内特許「コラーゲン線維からなるコラーゲン人工皮膚およびそれを用いた紫外線ダメージの評価方法」(特願2012-127826)として出願したり、学会誌への投稿も行った。これらの研究によって、人体を使ったSPF法やPA法に替わるスタンダードな評価方法になり得る可能性を見出した。
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