研究課題/領域番号 |
22510038
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
亀田 正人 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (20169642)
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研究分担者 |
丸山 博 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70281871)
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キーワード | 環境政策 / 人間生活環境 / 防災 / 動物 / 野生動物 |
研究概要 |
本研究の第2年度にあたる今年度はまず、昨年度に引き続きヒグマの出没状況を把握するため、出没現場の視察を行った。 今年度はヒグマの出没が多発し、従来から出没の見られた西区西野地区をはじめ南区南沢、白川、石山、藤野、豊滝地区、手稲区手稲本町、手稲富岡地区に頻出した。このうち南区石山と藤野にまたがる住宅地中心部では新たに、ショッピングモール直近の国道にも出没した。また、これまで出没がまったく見られなかった市中心部の円山および藻岩山に接する住宅密集地域、すなわち中央区宮ヶ丘、円山西町、山鼻地区などにも相次いで出没し目撃された。これらの出没はマスメディアによって連日のように報道され、地元住民だけでなく全国的にも認知され、注目を集めた。 札幌市の担当者への聞き取りから、市の対策の考え方、対応手法、体制の概要を知った。 また住民への聞き取りから、出没への感情と、行政の出没時対応への評価を、部分的に知ることができた。 予定していた第1回のアンケートによる住民意識・行動調査は、新たな出没の状況を踏まえ、事態が鎮静化した冬に実施した。対象地域は、従来からヒグマの出没があった7地域、今年度新たに出没のあった4地域、および出没のない1地域とした。対象者総数は1,500名とした。出没のあった地域では、出没地点から約300m以内に住む人の中から無作為に抽出した。郵送した質問表が到達した1,443名のうち887名から回答を得た(回答率61%)。質問項目は、ヒグマが出没した際に住民のとった行動や感情を問う項目、ヒグマに関して住民がどのような対策を望んでいるかを問う項目、住民教育にどのような内容を望んでいるかを問う項目、将来に向けてヒグマとの間にどのような関係を築きたいと考えているかを問う項目、などから構成した。現在分析作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度はヒグマ出没の広域化に伴い研究対象地域を広域化したため現地調査に時間を取られ、予定していた第1回アンケート調査を今年度に延期した。今年度はアンケート調査を予定していた6月ごろから新たな住宅地への出没が見られたため、それが鎮静化した冬まで再延期した。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は住民教育を中心に、住民の間にヒグマ出没を予防する動きを生み出す試みを行う予定である。当初の研究対象地域である西野地区以外に、この試みに協力を仰げそうな団体の見当はついていない。しかし、今年度実施したアンケートへの回答者の中に、学習会開催に興味を示し連絡先を記入してきたケースが数多くあったことから、これらの方たちに、協力を得られるよう働きかける予定である。
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