研究課題/領域番号 |
22510038
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
亀田 正人 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20169642)
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研究分担者 |
丸山 博 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70281871)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 環境政策 / 人間生活環境 / 防災 / 動物 / 野生生物 |
研究概要 |
昨年度実施したアンケート調査の結果分析を行った。調査の対象地域は、2011年に新たにヒグマの出没のあった地域(「地域A」)、従来から出没のあった市街地(西野=「地域B」)と郊外(「地域C」)、および出没のない地域(「地域D」)である。対象者は、地域A、B、Cでは出没地点から約300m以内に住む人の中から、また地域Dでは地域全体から無作為に抽出した。郵送した質問票が到達した1,443名のうち868名から回答を得た(回答率60%)。 分析の結果は以下の通りである。(1)出没地域に住む回答者のうちヒグマが出没した際にそれを身近なこととして認識しなかった人が各地域19ないし30%いた。また認識した人のうち何も対応をしなかった人が各地域23ないし37%いた。住民教育の必要性をうかがわせる。(2)人の住んでいない所にヒグマがいることについて、「いるべき」「いた方がよい」という人と「絶滅すべき」「いない方がよい」という人との比率は地域Aで48%対17%、地域Bで49%対18%、地域Cで42%対28%、地域Dで51%対15%であった。ヒグマとの共存を望む声が多い。(3)行政に望む対策としては、どの地域でも「ごみ管理を住民に指導する」と「ヒグマの生息数・行動範囲・出没要因等を調査する」を支持する人が多く、「春山で捕獲して頭数を抑える」が少ない。(4)ヒグマ学習会が開催されるとしたら参加するかきいたところ、各地域39ないし50%が参加したいと答えた。情報への需要の高さがうかがわれる。 この分析結果の報告書を作成し、アンケートに答えてくれた住民に郵送した。また札幌市と同市がヒグマの調査・管理を委託している業者に手渡し説明を行った。分析結果はまた、野生生物保護学会において発表した。そのほかに詳報を投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一昨年度はヒグマ出没の広域化に伴い研究対象地域を広域化したため現地調査に時間を取られ、予定していた第1回アンケート調査を昨年度に延期した。しかしアンケート調査を予定していた6月ごろから新たな住宅地への出没が見られたため、それが鎮静化した冬まで再延期した。また今年度開始を予定していた住民向け学習会の開催が、アンケートへの回答の中でヒグマに関する学習会を開催したい旨の意向を伝えてきた回答者たちとの調整の不調により、思うように進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は住民教育を中心に、住民の間にヒグマ出没を予防する動きを生み出す試みを行う予定である。今年度アンケート結果の報告書を送付した回答者たちの中から学習会の開催希望を寄せてきた人たちに具体化の打診を始めており、合意に至っているものもある。これを含めていくつかの学習会を実施したい。 年度末には、これら学習会の実施と札幌市のヒグマ対策の進展を踏まえて、第2回のアンケート調査を実施する予定である。
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