研究課題/領域番号 |
22510049
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
勝矢 淳雄 京都産業大学, 理学部, 教授 (00065848)
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研究分担者 |
河野 勝彦 京都産業大学, 文化学部, 教授 (50103718)
山岸 博 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (10210345)
野村 哲郎 京都産業大学, 総合生命科学部, 教授 (50189437)
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キーワード | 賀茂地域 / 住民との協働 / デカルト / スグキナ / 栽培化の起源 / 特産作物 / ナミテントウ / 地球温暖化 |
研究概要 |
1.住民との協働の方法論の実践的・理論的研究:デカルトの自然観と人間論には、自然研究の科学的なアプローチだけでなく、自然とつながった人間理解がある。この点をデカルト批判と対置した。上賀茂地域では、ジュニア上賀茂検定を小学校、自治連合会と協働で実施したがトラブルが生じた。それによって、住民との協働に関する新たな知見が得られた。これが上賀茂特有の事象なのか、一般的なことであるのかは今後の推移などをみながら検討しなければならない。現在の住民との協働の手法は、役割分担が明確でないことによって生じる欠陥とも言える。下鴨地域では、糺の森自然観察会、子供写真教室を実施した。地域住民との協働のためには、地域の中に有効な人脈を築いてリーダーを発見することが大切であるが、なかなか困難である。全国的な賀茂地域の連携のために各地域の神社を中心に訪問しているが、どこでもリーダーとなる人材を欠いている。現状において、有効な手立ては見つからない。賀茂文化研究会の会誌「賀茂文化」を発行し、過去の生活記録などを掲載し、賀茂文化の保全・継承を進めた。 2.上賀茂における地域の自然的特性に基礎をおく調査・研究とその展開:上賀茂神社と下鴨神社の御手洗舎の水質を調べたが、地下水としてとくに目立った特長はなく、日本の平均的地下水よりも軟水であった。スグキナの成立過程を推定するために、スグキナと同様に京都特産作物であるミズナと長野県特産の野沢菜の間で交雑を行なった。2種類の作物の間の雑種を得て栽培したところ、ミズナに類似した形態を持つ個体が得られた。ナミテントウの斑紋遺伝子の頻度調査は引き続きデータの蓄積に努めている。地域への研究成果の還元の一環として、高大連携活動として上賀茂御薗橋周辺で高校生とナミテントウの採集をした。採集した個体を4つの斑紋型に分類し、遺伝子頻度を計算した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デカルトの自然観と人間論を論じた。上賀茂では住民との協働はトラブルも生じているが、それゆえに新たな知見を得られた。下鴨では各種の住民協働が推進している。全国的な賀茂地域の連携は暗中模索である。会誌「賀茂文化」を発行した。京都特産野菜のミズナと野沢菜との間で交雑を行い、雑種固体を多数獲得した。ナミテントウの採取ど高大連携が順調に実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
環境倫理や生命倫理において、「人間の尊厳」や「生命の神聖性」が基本原理とされるが、これらの概念には曖昧さもあり、その検証を行ないたい。人間理解の基本である。上賀茂では、住民の今後の反応を観察する。下鴨地域ではジュニア下鴨検定を住民と協働で作成し、リーダーの発掘とその方法を模索する。人間関係を理解する手がかりの一つとしての自然崇拝について、インドネシアで調査をする。会誌「賀茂文化」を発行し、文化の保全・継承を計る。スグキナの起源を推定するために、雑種後代における形態的特性の変異を観察する。ナミテントウノのデータの蓄積と専門誌への公表、社会貢献の一環として幅広い年代層に理解されやすい形での公表を行なう。ナミテントウの理科教育の教材としての活用についても検討し、公表する。
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