札幌市周辺の住宅購入者(過去10年以内に新築住宅購入)を対象にアンケート調査を実施し、409人から回答を得た。その結果、住宅の工法や使用木材が不明と答えた人は住宅満足度が低いなど、満足度と情報の関係が確認された。さらに、柱・梁に使用した木材について、北海道産材と答えた人は17%、道産材以外の国産材13%、外国産材16%、そして不明が54%と大半を占めた。多くの消費者が住宅の構造材にどこの木材を使用しているか知らない実態が示された。情報の問題は住宅満足度と地域材利用推進の両方に関わることが伺われる。 つくば市と札幌市で実施した住宅購入者へのアンケート調査をもとに住宅満足度と情報の関係について検討した結果、消費者が住宅の工法や建材など基本的なことを含めて十分な情報を持つことが満足のいく住宅づくりにつながることを明らかにした。具体的には、(1)住宅の基本的な情報(工法など)を含む多くの種類の情報を収集すること、(2)契約の決め手として建築費だけでなく住宅見学や営業マンを含む複数の項目を検討すること、(3)納得のいく情報を提供する住宅供給者を選択することが、消費者の住宅満足度を向上させることを示した。 さらに、住宅購入における消費者が直面する情報の問題として、(1)情報収集方法が限られている、(2)情報源の多くが住宅供給者である、(3)中立・客観的な情報源が不足していることを指摘した。本研究によって、住宅市場における情報の問題を解消することが、消費者の住宅満足度を向上させ住宅市場を活性化させる可能性を示すことができた。
|