廃棄物関連のアスベストの分析方法はアスベスト含有建材の分析法としてJIS A 1481:2008に規定されているが、廃建材を破砕選別処理した後の廃棄物残さ(以下「破砕残さ」と省略)にJIS法を適用した場合、アスベストが他の廃棄物により希釈されている及び雑多なマトリックスを含んでいるためにアスベストを検出することが困難である。本研究は、破砕残さを研究対象とし、その中に含まれる微量のアスベストを風力及び比重によって濃縮分離するための卓上型装置を構築し、JIS法によるアスベスト分析対象を広げるための、濃縮前処理手法として確立することを目的とする。 研究代表者はこれまでに卓上型アスベスト濃縮装置を製作し、濃縮できることは確認したが、再現性に問題があることが分かった。そこで平成22年度は、再現性を高めるための方法として、濃縮装置内の風速の変化を抑えるため、及び静電気により装置内部に付着する粉じん量を減ために装置の改良を行った。 濃縮装置内の風速が減速する要因として、最下流部に設置したろ紙の目詰まりがで有り、改善策として粉じん捕捉器の一つを湿式に変更した。また、接続管内に堆積する粉じんを抑制するため、接続管の内径を3mmから6mmにする変更を行った。これらの改良により、濃縮装置内の風速の変化をある程度改善することができた。しかしながら、粉じんを取り込んだ気泡が破裂することなく水を充填した粉じん捕捉器を通過することもあるため、さらなる改善対策が必要であることがわかった。
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