研究課題/領域番号 |
22510053
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
川嵜 幹生 埼玉県環境科学国際センター, 資源循環・廃棄物担当, 専門研究員 (20415384)
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キーワード | アスベスト / 建設廃棄物破砕処理残さ / 乾式風力比重差選別機 / 石綿濃縮 |
研究概要 |
本年度は建設廃棄物中間処理施設から採取した建設廃棄物破砕残さに粉砕した石綿含有成形板を加え作成した試料及び様々な石綿含有成形板を破砕して作成した模擬破砕残さ試料を用いて、乾式風力比重差選別装置に用いるための試料条件、均質性や含水率等についての検討及びアスベスト濃縮率等についての検討を行った。また、種々の検討の結果から、再現性及び実用性を高めるために装置の改良を行った。 作成した石綿含有破砕残さに水を加え含水率を調整した。その結果、10wt%を超えると著しく飛散する粉塵量が減少し、16m/sの風速のとき水未添加時と比べ粉塵飛散量は約1/10(風速8m/sでは粉塵は飛散しない)になった。これらの結果から、乾式風力比重差選別機を用いて検体を調整する場合、再現性を考慮すると乾燥する必要があることがわかった。 建設廃棄物破砕残さは各施設により質が様々であり、粒度も粉塵量も異なっていた。そこで、乾式風力比重差選別時の均質性を担保するために、及びある程度大きながれき類(数mm以上)が混入していると粉塵発生器内部での撹拌により粉塵が生成してしまうことがわかったため、1mmメッシュの篩を用いて粒度を調整することとした。また、これまのロケット型の粉塵捕集容器は、配管が長く配管内部に粉塵がたまる等、実用性に課題が生じたため、逆ロケット型のサイクロン粉塵捕集器を作成し、試験に使用した。その結果、乾式比重差選別装置を一定条件下、20g以下の調整した試料に適用するならば、捕集量約10%の偏差で粉塵捕集を行えることがわかった。 ケイ酸カルシウム板やコロニアル屋根瓦等の石綿含有建材を粉砕し、1mmメッシュ篩を用いて調製した試料を用いて実験を実施したところ、飛散しやすい粒径の石綿繊維だけがサイクロン粉塵捕集器及び最下流部のろ紙に捕集されていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で使用している乾式風力比重差選別装置の粉塵捕集容器は市販品に粉塵捕集能率を向上するため改良を加えたものである。改良を重ねたため、大きさ及び操作性において実用性に課題が生じた。そこで、小型化及び操作性を向上するために実用されているサイクロン集塵機を模して、実験用小型サイクロン集塵器を作成したため時間を要した。また、濃縮率評価の内部標準物質として考えていた、硫酸カルシウム繊維やルチル繊維が一般的な試薬として市販されていなかったため、内部標準物質の検討を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
建設廃棄物破砕処理残さ中の石綿含有を評価するための前処理装置として、実用的かつ簡易な装置を作成することができた。現在、震災ガレキ中の石綿の問題もあり、砕けた、土と混合した中にある石綿の評価方法についての問い合わせが増えている。本装置を前処理装置として確立するため、今年度は次の3項目について検討する1)捕集した粉塵の粒径に付いての評価(人体に害を及ぼす粒径であるか)、2)発塵装置内での初期風速(現在はさいたま市の平均風速に約2m/sで実施)、3)大まかな濃縮率または飛散率をどのように評価するべきか(前処理装置を標準装置とするためには入手が容易かつ石綿繊維と同様な結晶性繊維物質を探査する必要がある)。
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