アスベストの混入が考えられる建設廃棄物破砕選別残さの前処理法の検討をおこなった。現在、建築材料のアスベスト分析法であるJIS法は建材の分析方法であり、雑多な建材を含む破砕選別残さに適用した場合、希釈されているため、また、様々な素材の建材を含むためアスベストを検出することはできない。そこで、破砕選別残さ中の粉塵を再飛散、微粒子を捕捉する装置の開発及び性能評価を行い、破砕選別残さからのアスベスト濃縮手法を構築した。平成25年度は装置の簡略化、装置の評価、捕集した粉塵の粒径評価等を行った。 これまでのロケット型集塵器から、一般的な逆円錐型のサイクロン集塵器に変更し、配管長の短縮化及び操作の簡略化を行った。粉塵発生塔内部での風速は底部で1~6m/秒、最上部で0.5~2.5m/秒であり、一般環境下における風速(台風等を除く)をほぼ再現することが可能であることがわかった。また、集塵器及び濾紙に捕捉される粉塵粒径について調べたところ、集塵器に捕捉される粒径は100μm以下ではあるが、検体によりばらつきが見られる。一方、濾紙に捕捉される微粒子径は10μm以下であり、検体によるばらつきはなく、集塵器が適切に微粒子を捕捉できることがわかった。さらに、粒径についての検討から、粉塵発生塔内及び集塵器内部にも10μm以下の微細粒子が残存することがわかった。 検体の粒径、含水率、飛散粉塵回収量等を検討した結果、採取した試料からの検体調製方法は次のようになった。建設廃棄物破砕選別残さを採取、105℃で乾燥、2mmメッシュの篩により粒径調製し、検体とすることによって、粉塵回収率の偏差を5%以内にすることができた。また、含水率の検討から、10%以上の含水率では、粉塵が発生しづらく、現場での石綿飛散防止のためには、散水により10%以上の含水率に保つことが安全担保の面から必要であることがわかった。
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