研究課題/領域番号 |
22510054
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研究機関 | 飛島建設株式会社技術研究所 |
研究代表者 |
内田 季延 飛島建設株式会社技術研究所, グループリーダー (20443640)
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キーワード | 環境経済 / 環境マネジメント / 環境と社会 / 合意形成 / 安全・安心 / 石綿・アスベスト / 環境影響評価・環境政策 |
研究概要 |
本研究は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の関連法規制では認められていない、廃石綿等を含む石綿含有廃棄物の中間処理(水中破砕・固化)と専用処分場を開設することで、石綿繊維の広域大気飛散リスクの軽減と循環型社会形成への寄与を目指している。平成23年3月に発生した東日本大震災では、阪神淡路大震災や新潟中越地震などで指摘された倒壊建物からの石綿繊維の大気飛散と比較して、はるかに大規模かつ広域での石綿繊維の大気飛散が現実となった。環境省は、平成19年に「災害時における石綿飛散防止に係る取り扱いマニュアル」を策定しているが、同マニュアルにおいても津波により市街地そのものが広域に渡って瓦礫化する事態は想定されていない。そこで、本年度は、東日本大震災における石綿廃棄物に関わる調査、処置等の情報収集・分析と石綿の解体除去、石綿の無害化、石綿繊維の検出方法などの技術開発動向の特許公開情報からの整理・分類を行い、非常に広範囲に分散された石綿廃棄物、石綿繊維の生活環境への影響軽減、再度の飛散リスク軽減の方策検討の基礎資料収集等を実施した。東日本大震災では吹付石綿や石綿含有建材を使用した多数の建物等も瓦礫化しており、石綿使用の報告義務の無い小規模建物や戸建て住宅等が、建物ごと瓦礫化したため、石綿の混在した瓦礫を長期間野ざらしするという事態が生じている。現状、大気サンプル観測では著しい影響は観測されていないが、局所的に大気中の石綿濃度の高い場所も観測されており、震災廃棄物における石綿対策が急務となっている。また吹付石綿の封込め材の特許情報が多数みられたが、津波のような激甚災害では、封込めでは対策にならないことが改めて確認された。成果の一部は平成24年度廃棄物資源循環学会研究討論会にて報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
東日本大震災では、災害による石綿繊維の広域大気飛散が現実のものとなってしまった。また想定した地震による建物損壊だけではなく、津波による市街地の広域瓦礫化、石綿を含む瓦礫の堆積と処理という新たな問題に直面した為、その実態調査、対策検討等を優先したことから当初計画より遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
東日本大震災では、津波による広域での建物等の瓦礫化だけでなく、土木構造物への被害も確認された。本研究で想定する廃石綿等を含む石綿含有廃棄物の中間処理(水中破砕・固化)と専用処分場の要件として、大規模災害時の震災瓦礫の処理への適用と、専用処分場自身の地震対策条件等の検討を研究課題に含め、基礎的要件をとりまとめる。
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