研究概要 |
大深度掘削NaCl型温鉱泉水での天然放射性核種の挙動,特にラジウムが高濃度(先行研究で発見)になる成因解明とモデル構築を目指す。具体的には,深部NaCl型熱水を採取し,試料の化学成分、水素・酸素同位体分析,天然放射性核種(ウラン(U),トリウム(Th),ラジウム(Ra)同位体)測定,さらに掘削コアー岩石試料の測定行う.得られた成果は、U,Th,Raのホットアトム反跳化学、高塩分熱水と深層岩石との相互作用による物質循環、さらに高レベル放射性廃棄物地層処分の際に遭遇すると考えられる高塩分熱水中での放射性核種の長期挙動研究に役立てる。 (1)今年度は、北海道の道南に点在する深層高塩分熱水を調査対象(20-30地点)として採水をおこなった。温鉱泉のラジウム向位体を中心とした放射能測定、化学成分,水素・酸素同位体を行い、高濃Raの存在普遍性を検討した。国内最高の5.7Bq/lの高濃度Ra-226の深層水を見出した。 (2)更に,特にラジウムが高濃度になる成因解明を目指して,ラジウムの吸着実験を行った。その結果,塩分が高くなるに連れて,ラジウムが粘土鉱物(イライト,モンモリロナイト、ゲーサイト)に吸着しなくなることが明らかになった。高塩分地下水中では一端溶出したラジウムは地下水中に留まるが示唆された。
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