研究課題/領域番号 |
22510071
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
北村 繁幸 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (40136057)
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研究分担者 |
藤本 成明 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40243612)
杉原 数美 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (20271067)
小島 弘幸 日米薬科大学, 北海道立衛生研究所, 研究主査 (10414286)
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キーワード | ブロム化難燃剤 / 水酸化代謝物 / 代謝的活性化 / 甲状腺ホルモン / 内分泌撹乱 / 核内レセプター / プロテインジスルフィドイソメラーゼ |
研究概要 |
ブロム化難燃剤はパソコン、テレビ等の家電品や建材の難燃性を高めることを目的として、広く使用されている。Tetrabromobisphenol A や polybrominated dipheny lether(PBDE)などがあり、我が国での使用量は非常に多く、その恩恵は多大なものである。しかし、体内での蓄積量の増加に伴い何らかの作用が発現されることが危惧され、プロム化難燃剤はダイオキシンに続く残留性物質としての関心を集めている。PBDEの水酸化体は芳香環に結合した水酸基とハロゲンが隣接し、甲状腺ホルモンとの構造類似性が見られるものがあり、甲状腺ホルモン作用を撹乱することが充分に予想される。そこで、PBDEの水酸化代謝物の甲状腺ホルモン撹乱作用について検討した。本年度の結果として、tetrabromobisphenol Aの他に、幾つかの水酸化代謝物は甲状腺ホルモンレセプターとの親和性を発現することを見出した。さらに、水酸化代謝物の明確なるターゲットを明らかにする為に、各種核内レセプターとの親和性の他に、甲状腺ホルモン依存性で細胞内蛋白質機能維持因子であるprotein disulfide isomerase(PDI)との相互作用をも検討した。その結果、幾つかの核内レセプターと結合することを見出した。また、水酸化代謝物はPDI活性に対しても阻害作用を示した。今後、このような甲状腺ホルモン作用に対するPBDEの撹乱作用をさらに精査し、構造活性相関を明らかにすると共に、ブロム化難燃剤の甲状腺ホルモン撹乱作用の全容を明らかにすべく、さらなる検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ブロム化難ねん剤の水酸化代謝物の各種核内レセプターとの親和性を明確にし、投稿することが出来た(Kojima et al.,Environ,Health Perspect,m 117,1210-1218(2009))。プロテインジスルフィッドイソメラースに対する親和性についてもまとめることが出来た(Hashimoto et al.,Chem.Res.Toxicol.,in press(2012))。
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今後の研究の推進方策 |
(1)水酸化ブロム化難ねん剤の甲状腺ホルモンに対する親和性に関する構造活性相関を明らかにする。その為に、キーになる化合物を合成する必要もある。 (2)デイオニデースに対する甲状腺ホルモンに対する拮抗活性を明らかにする。 (3)当初予定していたターゲット蛋白あるいは核内レセプターに関する検討は3年間でほぼ終了するが、さらなるターゲットを検索することは今後の本研究の発展に繋がると思われる。
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