研究概要 |
たばこ副流煙タールには従来考えられていた変異原以外にも、UVA照射によって変異原性を示す物質が含まれていることが判明し、そのメカニズムの解析を行ってきた。今年度は最近登場した新しいタイプの「嗅ぎたばこ」について研究を実施した。「嗅ぎたばこ」は無煙たばことして開発され、日本国内では2010年から販売されている。本製品はカートリッジに充填されたたばこ葉から放散されるガス成分を、口腔に吸引して使用するたばこである。紙巻たばこと異なって外箱にニコチン量等の表示義務はない。また、使用者が曝露される化学物質及びその濃度についての測定報告は少ないため、嗅ぎたばこの使用による健康影響は不明な点が多い。そこで、国内で販売された嗅ぎたばこ製品のたばこ葉中のニコチン量の測定を行い、さらにたばこ特異的ニトロソアミン (TSNA)の分析を行った。ニコチン測定は、たばこ葉に超純水、2M NaOH及びn-ヘキサンを添加後振とう抽出し、n-ヘキサン溶液をガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)に供して行った。一方、TSNA測定は、たばこ葉にくえん酸-リン酸緩衝液を添加後振とう抽出し、抽出液を珪藻土カラムで処理後、高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LC/MS/MS)に供して行った。先行販売2製品(MINT,BITTER)のたばこ葉中ニコチン量及びTSNA量は、1カートリッジあたり、MINTが5.49 mgと737 ng、BITTERが9.12 mgと1,180 ngとなり、両成分ともBITTERの方がMINTより1.6倍多く含まれていた。
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