研究課題/領域番号 |
22510077
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研究機関 | 大阪大谷大学 |
研究代表者 |
閔 庚善 大阪大谷大学, 薬学部, 准教授 (60140406)
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キーワード | 運動負荷 / 経口カドミウム / 体内蓄積 / リスクファクター / 鉄輸送系 / 炎症 |
研究概要 |
本研究では、カドミウム(Cd)経口摂取による体内蓄積量増加の原因となる生体側要因を明らかにすべく、マウスをモデルに検討し、昨年度は、若年期の鉄あるいはカルシウムの欠乏が、経口Cdの体内蓄積量が顕著に増加することを明らかにするとともに、女性のライフステージのうち、閉経よりも妊娠がそのリスクファクターとなることを明らかにした。今年度は、運動負荷、疾患、炎症による経口Cdの体内蓄積量に対する影響について検討した。その結果、成人期における運動負荷は経口摂取Cdの体内蓄積を増加させる傾向にあり、運動負荷量が増加すると臓器Cd蓄積量の増加が認められた。また、Cdの蓄積臓器である肝臓や腎臓を50%切除したマウスにCdを長期間経口摂取すると、肝切除で肝臓Cd蓄積量が有意に増加し、腎切除では肝臓および腎臓Cd蓄積量の増加は認められなかった。これらのマウスに鉄欠乏食あるいは鉄過剰職を与えると、肝切除時では鉄欠乏食には肝臓Cd蓄積量の有意な増加が消失した。一方、起炎症剤や感染症モデルにおける経口投与Cdの体内蓄積量は減少した。これらのことから、炎症サイトカインや肝鉄蓄積によって肝臓で生成されるヘプシジンが小腸における鉄吸収系に関わるのと同様に、Cdの消化管吸収や肝臓蓄積にも関与する可能性が示唆された。 したがって、強度な運動を行うヒトや肝障害を持病にもつヒトは、一般の場合よりも経口摂取したCdの体内蓄積量が増加する可能性があり、Cd汚染濃度の高い食品の摂取に注意する必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は運動負荷、炎症、臓器障害による経口カドミウムの体内蓄積の影響について検討した。このような負荷や疾病のモデル動物については、通常餌摂取時だけでなく必須金属欠乏による影響も検討し、これらの要因と食餌性の影響との対比も検討することができた。その一方、小腸における必須金属トランスポーターの発現量との関係は食餌性の場合とは異なることを見出したが、その原因についてはさらなる検討が必要である。また、現在本研究結果で論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は女性のライフステージのうち、授乳期についての経口カドミウムの体内蓄積に対する影響について検討する。また、以前に提出した計画書の通り、これまで得た各臓器カドミウム蓄積量と小腸必須金属トランスポーター発現量との関係解析を行い、本研究の総括を行うとともに、学会発表や論文作成を行う。
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