研究概要 |
下水汚泥の減量化および資源化に関する研究の展開で、高温で余剰汚泥を溶解する細菌および乳酸菌の新菌種と考えられる菌株を発見した。本課題では、60℃前後で下水余剰汚泥を溶解し、32℃以下では活動を休止する新規細菌株を用いて、下水余剰汚泥の減容化を図ろうとするものである。さらに、溶解した余剰汚泥から、乳酸菌による乳酸生産を行う。また、大腸菌による水素生産と酵母によるバイオエタノール生産について、その資源化の可能性を探ることも研究目的とし、本年度は次の成果を得た。 1.新たに高温性汚泥溶解菌Geobacillus sp.B1株と、アルヵリ依存性汚泥溶解菌Bacillus sp.N1株を分離した(特許出願準備中)。両株の余剰汚泥減容化は、B1株では高温条件下(60℃)3日間で約45%の、N1株ではアルカリ条件下(NaOH,pH11)6目間で約45%の、汚泥減量率を示した。 2.さらに両株のCOD処理能は、B1株では1日間で15%、N1株では6日間で12%であり、試作装置-減容系汚水処理システムーを用いて、応用・実用化への研究を展開中である。 3.Bacillus sp.N1株は分子量約40-KDaのアルカリ耐性プロテアーゼを産生しており、本プロテアーゼはアルカリ条件下で余剰汚泥溶解の関与が示唆された。 4.高温処理した余剰汚泥は、大腸菌高度水素生産株で1Lの上清から47mLの水素が生成できた。 5.また、溶解汚泥のメタン発酵を検討したところ、3.01L/kg-dry/dayとなり、通常のメタン生成の1.3倍の速度向上が認められた。
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