衝撃力を加えた場合のリサイクル食品の粉砕効果と衝撃殺菌効果を調べた。これらほ大きく以下の5つの過程に沿って進めた。 ・情報収集・パラメタ推定:衝撃による破砕や粉末に対する殺菌効果は、処理前の食品の性状や水分量によって変化し、また菌類の抵抗力は菌自体め構造に関係するだげでなく、固体表面への吸着状況にも大きく依存することが予想された。そこで、殺菌のメカニズムを調べるにあたり、殺菌率に影響するパラメタを材料強度学的及び生物学的立場、そして食品製造上の経験から推定する必要があり、これらの目的のために情報収集を行った。 ・実験システムの構築・衝撃実験:食品試料の破砕を行うにあたり、チップへの破砕から微粉末破砕まですべて一工程で行うのは難しく、粗破砕の部分は市販の破砕機を利用し、微破砕には自作する衝撃破砕装置を用いた。本年度は衝撃破砕と殺菌効果の有効性を調べるために、粉末性状変化の均一性を確保するため、永中放電衝撃波を用いた。本装置には、強力な衝撃力が必要になるが、これには高電圧のコンデンサ(40kV)からの放電(約20kA)を用いる。加える衝撃エネルギについては打撃回数を変化させることで調整した。 ・菌数評価・殺菌効果:菌数検査にはコロニーカウント法を用いるが、衝撃殺菌の場合、処理時に粉末が破砕されるとともに塊状の菌の凝集体が粉砕されることによって菌のコロニーが分裂し、見かけの菌数が増えている可能性がある。そのためATP活性を利用した直接的な菌数計測を行いコロニー計測値とも比較した。衝撃力によって粉砕効果は顕著に現れたが、リサイクル食品の種類によってはわずかな水分量が効果に大きな影響を及ぼすものもあった。衝撃殺菌によって明らかに菌数は減少するが、コロニー法を用いると正しく評価できないことが判明した。衝撃殺菌による減菌効果に対する有効性が確認できた。
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