下記の4点について研究、調査を進めた。 1.殺菌率の増加に関する検討:昨年度までは、できるだけ食品の品質への影響を減らすため衝撃打撃装置の発生する圧力および温度を低く抑えるために、インパクタの片方には樹脂で成形したものを使用していた。菌数の正確な評価によって減菌の効果は確認できたが、絶対的な殺菌率については実用化する上でまだ不足していた。圧力および温度はインパクタの硬さによるので、打撃時の粉砕効率や殺菌効率を上げるためには表面硬度を上げるために金属を使用することが考えられるがこれでは圧力および温度の効果が過大になると焦げてしまうこともありる。そこで樹脂の表面に金属箔をライニングし、金属同士が衝突した時に発生する非常に短時間の圧力・温度を粉砕、殺菌に利用した。コーティングの物理的な効果については衝撃計算を行い見積った。 2.リサイクル試料の品質に関する調査:この調査には打撃処理された試料そのものの品質(水分量の変化、タンパク質の変性、揮発成分量の変化など)とリサイクル品が使用される様々な現場(試料、肥料、特定成分の抽出など)での要求品質がどのようにマッチするかを調べた。その中で食品廃棄物に放射性廃棄物が混入している可能性もあるので、検査もおこなった。 3.リサイクルフローの提案:上記の調査結果を基に、実質的に可能性のあるリサイクルの流れを考え提案した。これについてはいくつかの企業と継続的な研究を検討している。 4.他の殺菌法との組み合わせについての調査:現在、国内で使用できる乾燥粉末に対して特に有効な非加熱殺菌法はないのが現状であるが、他の殺菌法(超音波、電磁波、紫外線など)も全く効果を示さないわけではない。複合する方法としては多くのものが考えられるが、未だ複合効果について良く知られていないので、実際の現場で利用できる方法を考え他の殺菌の研究者と情報交換を行い、可能性を検討している。
|