研究概要 |
海水淡水化技術である逆浸透法の際に、微細気泡(マイクロバブル)を塩水中で発生させることで、真水の透過効率が向上することを明らかにした。さらに、その効果は、気泡表面電位に大きく影響されることも確認した。そのため、表面電位の異なるマイクロバブルの収縮過程を含めた挙動について調べた。 その結果、表面電位の高い気泡では,気泡の収縮がゆっくり起こっていた。さらに、上昇速度も低下することがわかった。つまり、電位の高い気泡では、上昇速度が遅くゆっくり消滅していくことになり、水中での気泡寿命が延びることになる。また、塩水中にマイクロバブルを発生させることで、電気伝導度の低下が確認できた。このことより、マイクロバブルを塩水中で発生させることで、浸透圧の低下が生じていることになる。この浸透圧低下の程度は、塩濃度が高いほど、気泡電位の高いほど、より顕著に確認された。これは、電位の高い気泡の寿命が延びる結果とも一致する。これにより、膜処理での効率を向上できるとともに、これまで実際のプラントで問題となっている、処理圧の低下を実現できる可能性が出てきた。 一連の結果から、気泡表面電位の影響で、塩水中のイオンに何らかの影響を及ぼし、浸透圧の低下につながったことが予想できる。今年度の成果で、海水淡水化において、マイクロバブルを活用した逆浸透法の有効性は示すことができた。また、表面電位の影響により逆浸透法で真水の透過効率が上昇する理由も解明できた。今後は、実際にマイクロバブルの電気的特性の違いで、水中のイオンがどのように影響を受けるかについて、その物理化学的効果も含め調べて行く。
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