研究課題/領域番号 |
22510098
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
長谷川 裕晃 秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (90344770)
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キーワード | マイクロバブル / 気泡表面電位(ゼータ電位) / 気泡収縮 / 海水淡水化 / 逆浸透法 |
研究概要 |
気泡表面電位(ゼータ電位)の違いで生じる収縮速度の違いを、気泡収縮挙動の違いから調べた。真空脱気したゲル状水溶液中にマイクロバブルをシリンジで注入し、高倍率のレンズで気泡が収縮していく様子を測定した。 その結果、ゼータ電位が低いと1)気泡は球形を保って収縮していく。一方、ゼータ電位が高いと、2)気泡が球形から楕円のように扁平しながら収縮していく様子、3)気泡表面から内部ガスが流出し収縮している様子が確認できた。気泡の収縮パターンは、大きく分けて、上述の3パターンに分けることができた。このうち、ゼータ電位が低い場合は1)のパターンしか存在しなかった。ゼータ電位が高くなると、2)、3)のパターンがあらわれ、1)のパターンは確認できなかった。マイクロバブルは、収縮にともない自己加圧効果で内部の圧力が高くなることで、気液界面を通した内部のガス流出が促進され、急減に収縮する。その際、気泡変形や気泡の一部が破れ、ガスが流出することで、内部圧力の上昇が抑制され、収縮速度が低下することがわかった。収縮速度が遅くなることで、気泡寿命が延びることになる。こうしたゼータ電位と気泡寿命の関連は、RO膜の透過効率が、ゼータ電位の上昇につれて向上した結果と一致する。 一方、上昇速度への影響については、フォトクロミックセルを製作し、気泡後流の挙動を調べた。しかし、ミリサイズの気泡での後流の様子は可視化できたが、マイクロバブルサイズの気泡となると、後流の流れ場自体も微細となるため、可視化そのものがうまくできなかった。上昇速度の違いに及ぼす電位の影響は、今後違った方法で調べる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海水淡水化においてマイクロバブルを使用することで、RO膜の透過効率向上に成功し、さらにゼータ電位の高い気泡を使用することで、効果効率が向上するメカニズムを明らかにしつつある。この成果は、ほぼ計画した内容に近い。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、気泡の収縮挙動と気泡特性の関係を、気液界面の状態を詳細に捉えることで明らかにし、逆浸透法の向上を実現する方法を調べる。
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