研究課題/領域番号 |
22510099
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
戸高 恵美子 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (30334212)
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研究分担者 |
森 千里 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (90174375)
中岡 宏子 千葉大学, 予防医学センター, 特任助教 (60588648)
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キーワード | 人間生活環境 / ケミレスタウン / シックハウス症候群 / 室内環境 / 予防医学 |
研究概要 |
本年、測定、分析対象とした化合物は揮発性有機化合物(VOC)62種類とアルデヒド類17種類でVOCとアルデヒド類を合計したものをケミレスTVOC(総揮発性有機化合物)とし、千葉大学ケミレスタウン内で室内空気中の化学物質濃度を調査した。本年度調査した実験棟はA棟(軽量鉄骨構造と石膏プラスター内装仕上げ)、B棟(木造、ツーバイフォー構造)C棟(木材構造と杉材、火山灰内装仕上げ)の3棟6か所および公共施設を想定したケミレステーマ棟内の3ヶ所の室内である。臭気については、測定した室内の各化学物質濃度を嗅覚閾値濃度で除した値を臭気閾値比(Odor Threshold Ratio, OTR)と定義し、測定した室内におけるOTRと総OTR(TOTR)を算出した。上記の結果、TVOC、TOTRとも夏季に増加し冬季に減少、経年とともに減少する傾向がみられ、全体的に相関を示したが、TVOCが低くなると相関は弱くなった。OTRの低い物質は、濃度そのものが低くても臭いを感じやすいため、症状に影響している可能性がある。すなわち、TVOCが低くてもシックハウス症候群の訴えがある場合、TOTRが評価の基準となる可能性が推察された。宿泊実験では、宿泊前後で体調の大きな変化があった人はいなかったが、臭気強度が低いと感じた棟ほど症状が少なく、快滴に過ごせるという傾向がみられた. 臭気閾値を考慮したOTR、TOTRは室内空気中の化学物質濃度と相関するが、経年とともにTOTRのシックハウス症候群への寄与率が高くなってきていること、臭気強度が低いほど快適である、ということからOTRあるいはTOTRから室内空気環境の指標策定の可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
千葉大学内ケミレスタウンでは引き続き室内空気中の化学物質濃度を測定し、分析方法の検討をすすめている。また、ヒトによる体感評価試験、宿泊実験なども順調に進んでおり、化学物質濃度のデータとともにヒトの感じ方との関係、健康影響などの解析が進みつつある。結果も随時、論文、学会などで発表されている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、実際に測定・分析を続けながら、簡易で的確に測定、分析できる方法を検討していく。加えて、簡易型の測定ポンプの開発もすすめていく。 これまでの化学物質濃度のデータと体感評価結果から臭気を利用した評価指標であるTOTRとヒトの感じ方の違いについて研究を進める。 化学物質濃度だけではなく、ヒトの感性である「臭気」が室内空気質の指標になりうるかどうか検討を進める。
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