光学不活性な金属ナノクラスターのポストキラル変換と不斉光学応答のコントロール、及びその物理化学的特性を明らかにする研究を行い、以下に述べる重要な結果を得た: (1) キラルフルクトースが表面で結合する反応を利用し、アキラル配位子のフェニルボロン酸で保護した金ナノクラスターのポストキラル変換を達成した。得られた複雑な円二色性(CD)信号は、磁気円二色性(MCD)の測定から解釈できる事を解明すると共に、不斉場効果の起源を確固たるものにした。 (2) 吸収や CD 信号に対する表面配位子の長さ効果を表面アミノ基の反応のコントロールを通して検討した所、特に CD 信号には小さいながらも重大な影響を与える事が分かった。 (3) 光学不活性金ナノクラスターのキラル連結をキラルジチオール配位子交換によって達成し、非常に大きな不斉光学信号を得た。これは、表面におけるヘリカルなクラスター連結を示唆する結果となった。
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