本研究では、金属クラスター・ナノ薄膜と酸化物の界面での酸素の挙動と界面構造や電子状態に与え影響を解明するため、透過電子顕微鏡内その場観察と走査トンネル顕微鏡観察を組み合わせ、超高真空から酸素分圧下、加熱や電圧印可等多彩な環境のもとで原子レベル観察を行い、界面構造の変化や挙動を解析することを目的としている。今年度は、電子顕微鏡用薄膜試料を種々の環境下で加熱する「電子ビーム加熱装置」及び「赤外線加熱装置」を導入し、酸化物基板(ノンドープ、或いはNbまたはLaドープのSrTi03(001))の表面状態の制御を行った。電子ビームの加速電圧やエミッション電流、フォーカスを変化させることにより、電子顕微鏡トランスペアレントの薄膜状態を保ちながら、表面コンタミネーションを除去し1x1または2x2の制御された表面状態を作製することができた。また<110>ファセット形成にはバッファードフッ酸処理が有効であった。この表面上にNi及びPd金属のクラスターを電子ビーム蒸着により作製し、プランビュー法及びプロファイル法により構造を評価した。数MLサイズのクラスターは、下地基板の格子定数に合わせて格子を変形させていたが、10MLサイズになるとエピタキシャルな成長が観察された。
|