研究課題
これまでの研究で原子架橋・分子性架橋の機能性の潜在的可能性を追求することができてきたが、次なるステップに進むためには、電極と架橋分子との接合界面の問題をクリアしなければならない。本研究では、分子性をもつ架橋の終端分子構造に着目し、接合界面のナノ物性を研究し、機能性発現のための理想的な接合界面のデザインを目指している。年度実施計画の窒素終端キレートと金(111)表面の接合に表れた電気伝導性阻害の要因を調査したところ、これまで考慮してきた金属電極表面がフラットであることが、第一要因であることが示唆された。窒素終端との接合を良好にするためには、金属側がより原子状に近い電子構造を持つ必要があるように思われる。本知見をもとに次年度計画には、電極側候補として金属ナノ粒子の項目を挙げた。また良好な電気伝導性を示した炭素終端接合界面の生成方法に関しては、金属交換反応を用いるとしても、こちらも金属側は原子状に近い電子構造を持つ必要があった。さらに他の接合界面構造の候補探査として非貴金属表面、合金表面、酸化物表面の分子吸着特性、電子物性を調査した。その中で金属酸化物表面が一つの有力な候補として浮かび上がった。多くの金属酸化物は絶縁性を示すが、酸素欠損が生じた系では伝導性を示す。研究の結果、酸化銅では金属電極との接合界面では、金属酸化物の界面第1層では、伝導性があり第2層から絶縁性を示し始める。第2層以後に続いて酸素欠損を生じさせれば、伝導性をもつ電極としての利用が可能になる。また、金属酸化物の表面は酸素終端となっているが、酸化銅表面より終端酸素をはぎ取った表面では、その純粋な金属表面(この場合、銅表面)より、吸着活性が高くなることが見出された。金属酸化物は、酸素調整により理想的な接合界面デザインの為の電極候補になり得る。
2: おおむね順調に進展している
計画した調査は順調に遂行しており、予想外の新たな知見も得られた。
様々な分子系および表面系の候補を捨てずに、これまで通り多面的に調査を続行する。その調査対象の中では、特に電極表面材料の候補として金属ナノ粒子の可能性を考慮する。
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