研究課題/領域番号 |
22510112
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
林 卓哉 信州大学, 工学部, 准教授 (80313831)
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キーワード | カーボンナノチューブ / グラフェン構造体 / その場観察 |
研究概要 |
本研究は多層グラフェンやナノチューブなどの炭素網面積層ナノ構造体に局所的な応力を加えることで層間距離や歪みなど層間の状態を変化させ、グラフェン層間の相互作用を明らかにすることを目的としている。今年度は初年度としてグラフェン構造体の構造同定の手法を確立する事とした。具体的には収差補正電子顕微鏡によりグラフェン構造体の原子像を得て、グラフェンシートの積層構造を明らかにする事を試みた。この結果、高速フーリエ変換と逆変換によりグラフェン構造が円筒状であれば積層構造が決定可能である事が分かった。層数に関しては4層程度までは確認可能であった。この結果により湾曲グラフェンネットワークに於いて積層構造を決定する事が可能となり、積層グラフェン構造体の物性予測を容易にできる可能性が出てきた。この手法を発展させることで二層カーボンナノチューブの接合部でのカイラリティーの変化を見出すことに成功し、内層と外層で異なる電気的性質を示すジャンクション構造が生じている事が明らかになった。また、平面状グラフェンの上に湾曲したグラフェンを接近させ、局所的な応力が一層のグラフェンに加えられた状態を模した上で電子状態計算を行った。その結果、平面状グラフェンと湾曲グラフェンの凸部の層間距離によって電子状態が変化し、単一層のグラフェンの電子状態から二層グラフェンとも異なる特異な電子状態になることが明らかとなった。これらの成果により多層グラフェン構造体に局所応力を加える事で電子状態のチューニングを行うための道筋が開けたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カップ積層型CNTの圧縮により当初想定よりも興味深い電気伝導性に関わる結果が得られたため、そちらの解析に重点を置いたために当初計画のホウ素添加カップ積層型CNTの測定は行われているが、ナノリボンの研究に若干の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
現状得られた電気伝導性の結果について電気伝導機構解明をおこない、ホウ素添加カップ積層型CNTについても電気伝導性測定の実験を行っていく事とする。
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