研究概要 |
H22-23年度は,非化学量論組成の多元系酸窒化物のナノ結晶生成及びその可視光応答性発現,TiO2ナノ粒子の堆積モフォロジー及び結晶性制御(アナターゼとルチル)を実現した.本年度は,TiO2ナノ結晶堆積後に短時熱処理(RTP)を導入し,ナノ粒子の結晶性とともに光触媒活性の関係を評価した. 焼結体TiO2をターゲットとして,Nd-YAGレーザー光(波長: 355 nm, パルスエネルギー: 10 mJ/pulse, 繰り返し周波数: 10 Hz)を集光照射し,O2中でアブレーションを行った.対向堆積基板にはシリコン・石英を加熱せずに用いた.TiO2ナノ結晶堆積後に,常圧O2中,400-900℃, 60sec.のRTPを施した. 反応性PLA法において,O2ガス圧力130 Paでは,準安定相のアナターゼ構造のTiO2ナノ結晶が生成された.これにRTPを施し,XRDにおける主回折ピーク強度の処理温度依存性を評価した.アナターゼ構造の主回折面(101)からの回折強度は,800℃までは処理温度とともに増加した.また,700℃以上ではアナターゼからルチル(安定相)への転移が観測された.RTPなし(as-deposition),600℃,900℃の3点のTiO2ナノ結晶構造体について,光励起によるメチレンブルー溶液の分解特性を測定することで,光触媒活性評価をおこなった.励起光:355 nm,照射密度:1.0 mW/cm2,メチレンブルー初期濃度:0.01 mmol/l,とした.メチレンブルーの主吸収ピーク(664 nm)の吸光度変化の照射時間依存性から,RTP処理温度の上昇にともない,光分解活性が向上することが判明した. 以上の結果から,RTPの導入による結晶性の回復が,光触媒ナノ粒子中の電子-正孔再結合を抑制することで,光触媒活性の向上が実現できたとものと考えられる.
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