研究課題/領域番号 |
22510119
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
張 民芳 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究員 (60518330)
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キーワード | ナノホーン / 薬物送達システム(DDS) / ステルス性 / マイクロファジ細胞 / 微小ナノホーン集合体 |
研究概要 |
23年度は本研究計画の通り進展し、目標とした三つの成果が得られた。 (1)標的分子葉酸を用いて、小さいサイズ(S-CNH)と通常サイズ(L-CNH)のナノホーンの修飾に成功した。 (2)CNHの細胞内の取り込み量の定量化に成功 ナノカーボン物質の細胞内の取り込み量を定量するには、今まではナノカーボンに蛍光物質を付けて定量する方法がある。修飾法により、そのナノカーボンの性質が変化され、付けた蛍光物質は細胞培養液にナノカーボンから離れる可能性があり、正確定量には幾つかの問題があった。本研究では、まず、CNHの黒い粒という特徴を利用することにより、光学顕微鏡で細胞内取り込みしたCNHの相対量を観察法で見積りできた。そして、CNHの近赤外光吸収特性を利用した定量方法を確立した。細胞溶解剤と超音波破砕機を組み合わせ、最適な細胞-CNHの分散液を得られ、光吸収スペクトルで細胞に内包したCNHの量を正確に測定することが可能になった。 (3)CNHの細胞内の取り込み量が化学修飾や、サイズに依存することを明らかにした。具体的に、PEGで修飾したS-CNHはマクロファージ細胞への取り込み量が少なく、葉酸で修飾したS-CNHは標的癌細胞へ(KB細胞)の取り込み量が大きくなるという優れた特性があることを見いだした。一方、L-CNHはPEG機能化した効果が多少あるが、葉酸の効果があまり見られなかった。 得られた結果を論文にまとめて、現在英文誌「SMALL]に掲載確定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は本研究テーマが計画通り進展し、目標とする成果が得られた。DSPE-PEGと標的分子葉酸を用いて、小さいサイズ(S-CNH)と通常サイズ(L-CNH)のナノホーンの修飾に成功した。そして、修飾したCNHの細胞内の取り込み量を定量化し、CNHの細胞内の取り込み量が化学修飾や、サイズに依存することを明らかにした。この結果を論文にまとめて、現在英文誌[SMALL]に掲載確定である
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今後の研究の推進方策 |
今年は更に化学修飾方法を改良し、担癌マウスを用いて、多機能化したs-CNHの標的機能の評価及び生体への影響を調べる。
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