研究課題/領域番号 |
22510121
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研究機関 | 株式会社豊田中央研究所 |
研究代表者 |
井川 泰爾 株式会社豊田中央研究所, 有機材料・バイオ研究部・有機材料研究室, 主任研究員 (20394786)
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キーワード | フォトニック結晶 / 光スイッチ / マイクロ・ナノデバイス / 構造・機能材料 / 光ピンセット / アゾベンゼン / 有機-無機ハイブリッド / 液晶 |
研究概要 |
目的 : アゾベンゼン誘導体を含有するポリマ(アゾポリマ)に特有の「光表面変形機能」「液晶配向制御機能」を利用した「微粒子規則配列法」並びに「光固定化法」を用いて、コロイド粒子の3次元構造が可逆的に変化する刺激応答機能性材料を創製する。 研究成果 : コロイド粒子と液晶分子を複合化した以下2種の刺激応答材料を検討した。 1.サーモトロピック液晶系材料 アゾベンゼン誘導体を結合したエトキシシラン、テトラエトキシシラン及びフェニルエトキシシランを混合した光応答性の有機-無機ハイブリッドフィルム(アゾフィルム)を作製した(H22成果)。アゾフィルムを多重干渉露光し、テンプレート凹凸構造を作製した後、その表面に、シリカ粒子を液晶分子5CBに分散した液晶コロイドを展開すると、シリカ粒子がテンプレート構造に応じて自発的に二次元構造体(正方構造と六方構造)を形成した。さらに、光ピンセットを用いてシリカ粒子を3次元配列し、3x3-2x2-1の体心立方構造のピラミッドの作製に成功した。以上、アゾポリマを用いてコロイド粒子の3次元構造を精密に制御する手法を確立した。 2.リオトロピック液晶系材料 アゾポリマ微粒子表面に蛋白質ゲルゾリンを光固定した後、アクチンフィラメント(AF)をゲルゾリンに結合し、AFの極性を制御して固定化した星型コロイドを作製した(H22成果)。星型コロイド溶液に分子モータ蛋白質の集合体である双頭型ミオシンミニフィラメント(MF)を添加したところ、AFとMFの自己集合により星形コロイドがゲル化した。ATP添加によりゲルが収縮することを確認した。以上、微粒子を作用点とするマイクロ駆動システムの可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.サーモトロピック液晶系材料の検討に関して、サーモトロピック液晶にアゾポリマが溶解する問題をH22年度中に解決することができたため、その後は順調に研究を進展することができた。 2.リオトロピック液晶系材料に関しても、遅れの発生する問題は特になく、順調に推移した。
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今後の研究の推進方策 |
1.サーモトロピック液晶系材料に関して、アゾベンゼン分子を表面に結合したシリカ粒子を新規に合成し、それら粒子を液晶中に分散した液晶コロイドを用いて3次元構造体を形成する。アゾベンゼンの光異性化を誘起して微粒子周囲の液晶配向変化を誘起し、3次元構造が可逆的に変化可能かどうか検討を行う。 2.リオトロピック液晶系材料に関して、想定した基本原理動作は確認できたので、作用点となる微粒子を精密に配列した後、構造体を形成し、精密運動制御を検討する。
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