研究概要 |
平成23年度はレーストラックの曲線部分の半径が500nmのプラズモニックレーストラック共振器をトレンチ構造により作製した.作製したレーストラック共振器は曲線部分の半径が500nmであり,直線部分の長さが1000nmである.トレンチ構造の深さは500nmであり,シングルモードのみ伝搬できるよう設計した.時間領域差分法を用いた解析ではプラズモニックレーストラック共振器は同じサイズのプラズモニックリング共振器と比較した場合,出力強度を50倍程度にできることが明らかになった.既に報告されているプラズモン共振器と比較して今回作成した共振器は1/10程度のサイズである.この構造の挿入損失は -10dBと大きいため,これに対する対策を考慮した.その結果,トレンチ構造をPMMAなどのポリマーにより充填することで挿入損し値は-3dB程度までにできることを数値解析により明らかにした.また,ポリマーなどを充填することで共振器のサイズを数100nmまで微小化しても,特性に大きな変化がないことも明らかにした. しかし,レーストラック共振器は共振器の重要なパラメータであるQ値が大幅に低下する.リング形状では80程度であったQ値がレーストラック形状では38程度と半分以下となるため,対策が必要である.これに対してQ値を改善するための構造検討を開始した.その結果,複数の共振器を組み合わせることでQ値を改善できることが明らかになった.この構造ではQ値を2倍程度である70まで改善できる.また組み合わせる共振器の間隔などを変えることでQ値を改善できる波長帯域などを変化させることが可能であることも明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
レーストラック共振器のQ値低下を改善するため,1つのレーストラック共振器だけでなく,複数の共振器を組み合わせた構造を検討を開始した.予定では既に作製済みの1つのレーストラック共振器構造に対して通信波長帯域において評価を実施する予定であったが,Q値を改善できる新しい構造の作製および可視光領域での評価を優先するため,通信波長帯域での評価が遅れる,
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