平成24年度はレーストラックの曲線部分の半径が500nmのプラズモニックレーストラック共振器の評価を実施した.最初の評価は波長633nmのHe-Neレーザを用いて実施した.その結果,波長633nmの光を入射ポートに入射することで,共振器内を表面プラズモンポラリトンが伝搬する様子を確認した. 次にレーストラックの曲線部分の半径が1500nmのプラズモニックレーストラック共振器を用いて入射光の波長を630nm,650nm,658nm,670nm,690nmの5種類変化させて波長による特性を確認した.実験結果とFDTD法を用いて求めた波長特性と比較した場合,波長特性のピークとなる波長633nm,686nm付近の波長630nm,690nmではプラズモニックレーストラック共振器の内部を表面プラズモンポラリトンが伝搬する様子を確認できた.つまりプラズモン共振器として動作することを確認できた.それ以外の波長においては表面プラズモンポラリトンが伝搬する様子を確認することができなかったことから,これら波長ではプラズモン共振器内で表面プラズモンポラリトンは共振しないことを確認できた.よってFDTD法を用いて求めた結果と実験の結果の波長特性は一致していると考えられる. さらにレーストラックの曲線部分の半径が500nmのプラズモニックレーストラック共振器を用いて同じように入射光の波長を630nm,650nm,658nm,670nm,690nmに変化させて実験を行った.ただし,入力ポートに光を入射すると散乱光により,プラズモニックレーストラック共振器の状態が確認できなくなる問題が発生したため,それぞれの波長における波長特性を確認することができなかった.そのため,今後は入力ポート形状について散乱光を削減できる構造を検討する必要があることが明らかになった.
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