平成22年度では、オフショアITプロジェクトにおけるリスクマネジメントの目標体系、リスク特定用のモデルを構築するための企業調査を実施した。また、インターネット市場におけるリスク投資と収益の配分に関する契約問題を研究した。 多くの分野でリスク特定、評価およぶマネジメントの研究が行われている。しかし、長期契約のオフショア業務委託を前提とした場合、発注者と受注者でリスクに対する認識・対応が異なること、また、長期的なオフショアの取り組みの中で、ひとつのプロジェクトでのリスクマネジメントだけでは不十分なことなど問題がある。このようなオフショアプロジェクトのリスクマネジメントの改善を図るために、博士学生と一緒に、発注者と受注者との間のリスク認識の違い、長期契約関係の中に不明確なリスク特定プロセスおよびプロジェクトごとの暫定的なリスク対応などの特徴を考慮したリスクマネジメントを研究した。 博士学生が実際に経験した数多くのオフショアITプロジェクトを調査するとともに、ほかのオフショアリソースを活用したITプロジェクトのリスク特定、リスク分類と構造化を行った。Hierarchical Holographic Model(HHM)法を適用し、オフショアITプロジェクトのリスクシナリオを構造的、網羅的に表現した。リスク状況における契約問題について、コンテンツプロバイダからインターネットプロバイダへの収益配分によるネットワーク拡大投資への合理性が示すためのモデルを作成した。
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