研究概要 |
1.市販のPCを用いてサーバ統合を行ったとき、ユーザはどのような影響を受けるかについて考察した。まず、CPUの利用率が50%以下の2台のPCを仮想化技術により1台のPCに統合し、ウエッブサーバーとして利用した場合について、ユーザの応答時間を比較評価した。その結果、負荷の高いときに応答時間は若干増えるが、ほぼ同じ性能が得られることを示した。結論として、サーバ統合は市販のPCを用いてもハードウエアの共用化に有用であることを示した。2.IEEE802.11において標準化されている無線LANの省電力モード(PSM: Power Saving Mode)に注目し, トラフィックの変動に合わせたLIとAPにおけるTCP機能を追加することによって, さらなる省電力化を図るAP順応型省電力モードAP Adaptive Power Saving Mode(APAPSM)を提案した. シミュレーションを行った結果, APAPSMがPSMに比べ, クライアントは無駄な送受信を抑えることが可能となり、消費電力だけでなく, 受信時間をも改善できると判明した. さらに, クライアントの受信時間が短縮されたことで, サーバにおけるクライアントの専有時間も短くなる. これによりPSMと比べてサーバの性能を向上させることもできると予想される. また, クライアントがアウェイク中に受信する予定のパケット数は, APAPSMの性能に大きく影響を与えないことが確認でき, このことにより, APにおいて確保すべきバッファサイズを大きくとる必要はないことが分かった. 以上の研究結果により, トラフィックの影響を吸収して省電力化を図るAPAPSMは, 平時だけではなく, トラフィックに大きな負担が発生している場合やパケットロスの頻度が高い状況においてもPSMの上位互換として大きな効果を発揮するものと考えられる.
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