平成25年度はこれまでの研究成果の取り纏めの時期に該当する。主な成果に着目して次の項目を対象として取り纏めを行った。 (1)消費に基づく資産評価モデル(2)景気レジームと株式リスク(3)日経225オプションの株式リスクプレミアム(4)流動性リスクプレミアム(5)インフレーションリスク(6)ボラティリティリスク(7)ジャンプリスク 今年度の成果は、(5)と(7)に関連した2本の査読付き論文が掲載されたことである。これらの論文に関する研究成果を示しておく。(5)に関連した研究成果は、次の通りである。分析データ期間において株式リスクプレミアムは多くの業種でインフレ率と負の弾力性があることが確認された。負の弾力性が大きい業種ほどインフレを考慮しない通常のBSモデルよりもコールオプション価格が小さい傾向が確認された。シミュレーションから得られたインフレ率シナリオの下での株式や株式オプションの期待リターン、ボラティリティ、相関行列と最適なポートフォリオのウエイトは整合的な結果となった。(7)に関連した研究成果は、次の通りである。個別銘柄のリスクには、ジャンプ成分が多く含まれている。ポートフォリオで保有すると、ジャンプ成分がネットオフされ、リスクは拡散成分のみに近づくことが予想されるが、金融危機時にはジャンプ成分の相関が高く、ポートフォリオの銘柄数を増やしてもジャンプ成分は残りジャンプリスクプレミアムが内在することがわかった。
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