研究概要 |
在庫を基礎とするサプライチェイン最適化に関するこれまでの研究や近年行われた国内外の研究を調査した.昨年度,線的市場上で店舗までの距離や販売価格等の情報をもとに顧客が行動し,需要が確率的に発生するモデルの構築と理論的な解析をおこなった.しかし,線的市場は限定的なため,平面上のモデルを考え,店舗が配置され,顧客はある一定のコストまではどちらかの店舗に行くという前提のもとで最適な販売価格等の決定を行うモデルを構築し,解析をおこなった.今後,平面上での店舗配置や,販売価格等を変数とするサプライチェイン最適化のモデルに拡張することを予定している.さらに,部品工場と完成品主場の引き取り間隔を調整して全体の利益が最大になるようにして,部品工場で生産スケジュールを決めるモデルの構築と解析もおこなった.また,多段生産システムにおいて,事前需要の情報を用いることにより,生産,販売にメリットが生じると考えられる.このようなモデルの定式化をおこなった.昨年度,ポアソン到着,一定加工時間のモデルについて解析をおこなったが,それを多段にした場合の最適な情報の利用と最適基点在庫亮について解析を進めている。また,基点在庫システムにおいて,販売側が予想リードタイムを顧客に提示し,客はその時間をもとに実際にサービスを受けるかどうかを決定するモデルを構築し,販売側の利益を最大にするリードタイム提示政策をマルコフ決定過程により求める一方,そのような政策では顧客の待ち時間を含めた満足度の高い効用がえられないことを数値的に示し,それらより効用が高く,またそれほど販売側の利益も低下しない場合を提示している.このことは,顧客満足度も考慮したサプライチェイン全体の最適化につながると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後,事前需要を用いた直列型の生産・在庫システムの最適化,サプライチェインの最適運用,店舗の最適配置,顧客満足度を取り入れたサプライチェイン全体の最適化を進めていく方針である.
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